LLMに応答のファクトチェックと情報源の明示をさせる方法

LLMに応答のファクトチェックと情報源の明示をさせる方法

Retrieval Interleaved Generation(RIG)を使ったチャットボット構築方法を解説。AIの応答を正確かつ検証済みにし、信頼できる情報源を明示します。

RIG(リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーション)とは?

リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーション(RIG)は、情報検索と回答生成をシームレスに融合させる最先端のAI手法です。従来はRAG(Retrieval Augmented Generation)や単純な生成型モデルが使われていましたが、RIGはこれらのプロセスを統合することでAIの正確性を高めます。検索と生成を組み合わせることで、AIシステムはより広範な知識を活用し、より精度が高く関連性のある応答を提供できるようになります。RIGの主な目的はミスを減らし、AI出力の信頼性を高めることであり、AIの精度を追求する開発者にとって不可欠なツールとなっています。このように、リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーションは、RAG(Retrieval Augmented Generation)に代わる文脈ベースのAI応答生成手法として注目されています。

RIG vs RAG illustration

RIG(リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーション)はどのように機能する?

RIGの動作は次の通りです。以下のステージはオリジナルのブログに着想を得ていますが、こちらはData Commons APIを活用した一般的なケースが中心です。実際には多くの場合、WikipediaやData Commonsなどの一般的な[知識ベース]と自社の独自データの両方を利用したくなるでしょう。以下に、FlowHuntで自分の知識ベースとWikipediaのような一般知識ベースの両方からRIGチャットボットを構築する方法を紹介します。

  1. ユーザーの質問がジェネレーターに入力され、該当部分の出典を付記したサンプル回答が生成されます。この段階では、ジェネレーターが良い回答を出しても、誤ったデータや統計情報が混じった「幻覚」を含んでしまうことがあります。

    RIG Stage 1: Sample answer generation
  2. 次の段階では、この出力をAIエージェントに渡し、Wikipediaと接続して各セクションのデータを精査し、それぞれに情報源を追加します。

    RIG Stage 2: Fact-checking and source attribution

ご覧の通り、この手法はチャットボットの正確性を大幅に高め、各生成セクションに出典が付き、根拠が明確になります。

FlowHuntでRIGチャットボットを作る方法

第一段階(ダミーのサンプル回答ジェネレーター)を追加

最初のフローは、チャット入力・プロンプトテンプレート・ジェネレーターで構成されます。これらを接続するだけでOKです。最も重要なのはプロンプトテンプレートです。私は次のようなものを使いました:

ユーザーの質問が与えられます。ユーザーの質問に基づいて、架空のデータやパーセンテージを含む最適な回答を生成してください。各セクションの後に、そのセクションを正しいデータで修正するために使用すべき情報源を明記してください。独自データがある場合は内部知識ソースを、一般的な知識の場合はWikipediaを指定してください。

入力例:再生可能エネルギーで上位の国はどこで、最適な指標は何か、その値はどの国が一番か?
出力例:再生可能エネルギーで上位の国はノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アメリカです [Wikipediaで「Top Countries in renewable Energy」を検索]。再生可能エネルギーの一般的な指標はキャパシティファクターです [Wikipediaで「metric for renewable energy」を検索]。1位の国のキャパシティファクターは20%です [Wikipediaで「biggest capacity factor」を検索]。

それでは始めます!
ユーザー入力:{input}

このようにFew Shotプロンプトを使うことで、ジェネレーターが望む形式で出力するように誘導できます。

Sample prompt template in FlowHunt

ファクトチェック部分を追加

次に、サンプル回答の出力をファクトチェックし、正しい情報源に基づいて回答を修正するパートを追加します。ここではWikipediaとAIエージェントを使います。WikipediaをAIエージェントに接続することで、単純なジェネレーターより柔軟で高度な処理が可能です。ジェネレーターの出力をAIエージェントに接続し、WikipediaツールもAIエージェントに接続します。AIエージェント用のゴールは次の通りです:

ユーザーの質問へのサンプル回答が与えられます。サンプル回答には誤ったデータが含まれている可能性があります。指定されたクエリに従ってWikipediaツールを使い、Wikipediaの情報で回答を修正してください。各指定セクションごとにWikipediaのリンクを含めてください。ツールでデータを取得し、そのセクションの回答を修正してください。出典のリンクは必ずそのセクションごとに記載し、文末にはまとめて記載しないでください。

同様に、ドキュメントリトリーバーをAIエージェントに追加すれば、自社独自の知識ベースから文書を取得することも可能です。

Connecting Wikipedia to AI Agent

このフローはこちらから実際にお試しいただけます

Retrieval-Augmented Generation(RAG)の理解

RIGの価値を正しく理解するには、その前身であるRetrieval-Augmented Generation(RAG)を知るのが役立ちます。RAGは、関連データの検索と、適切な内容を生成するモデルの強みを組み合わせた手法です。RAGからRIGへの進化は大きな前進です。RIGは検索と生成を単に行うだけでなく、両者を交互に混ぜて処理することで、より高い精度と効率を実現します。これにより、AIシステムは段階的に理解と出力を向上させ、正確かつ関連性が高く、洞察に富んだ結果をもたらします。検索と生成をうまく融合させることで、膨大な情報を活用しつつ、一貫性と関連性のある応答を維持できます。

リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーションの未来

リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーションの将来は非常に有望で、今後も多くの進歩や研究が期待されています。AIの発展と共に、RIGは機械学習やAIアプリケーションの世界で重要な役割を担うことになるでしょう。その影響力は現状を超え、AIシステムの情報処理・生成のあり方を変革する可能性を秘めています。研究が進むことで、RIGを様々なAIフレームワークに統合する技術革新も進み、より効率的で正確、信頼性の高いAIシステムが実現される見込みです。こうした進展により、RIGの重要性は今後ますます高まり、AIの正確性とパフォーマンスを支える礎となるでしょう。

結論として、リトリーバル・インタリーブド・ジェネレーションはAIの正確性と効率性を追求するうえで大きな一歩です。検索と生成のプロセスを巧みに融合させることで、大規模言語モデルの性能を向上させ、多段階の推論や教育・ファクトチェック分野での新たな可能性を開きます。今後もRIGの進化がAIの新しいイノベーションを牽引し、より賢く信頼できるAIシステムの実現に貢献していくでしょう。

よくある質問

Retrieval Interleaved Generation(RIG)とは何ですか?

RIGは情報検索と回答生成を組み合わせたAI手法です。チャットボットが自分の応答をファクトチェックし、信頼できる情報源を根拠とした正確な回答を提供できます。

RIGはどのようにしてチャットボットの正確性を高めますか?

RIGは検索と生成のステップを組み合わせ、Wikipediaや独自データなどのツールを使い、各回答セクションごとに信頼できる情報源に基づいた検証を行います。

FlowHuntでRIGチャットボットを作るには?

FlowHuntでは、プロンプトテンプレート・ジェネレーター・AIエージェントを内部と外部の知識ソースに接続してRIGチャットボットを設計できます。自動ファクトチェックや情報源の明示が可能です。

RAGとRIGの違いは何ですか?

RAG(Retrieval Augmented Generation)は情報を検索してから回答を生成しますが、RIGは各セクションごとに検索と生成を交互に行い、より正確かつ信頼性の高い情報源付き回答を実現します。

ヤシャは、Python、Java、機械学習を専門とする才能あるソフトウェア開発者です。AI、プロンプトエンジニアリング、チャットボット開発に関する技術記事を執筆しています。

ヤシャ・ボルマンド
ヤシャ・ボルマンド
CTO、FlowHunt

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