大規模言語モデル（LLM）の最大の課題は、あいまい・古い・または誤った情報を提示しがちな点です。常に最新かつユースケースに関連した回答を得るには、生成モデルを正しいナレッジソースに紐づける必要があります。

このアプローチは「Retrieval-Augmented Generation（RAG）」と呼ばれ、生成モデルにあなた自身のナレッジソースを与えます。リトリーバー系コンポーネント（ドキュメントリトリーバーなど）によって、この手法が利用可能になります。

ドキュメントリトリーバーコンポーネントとは？

このコンポーネントによって、チャットボットはあなた自身のソースから知識を取得できるようになり、情報の関連性・信頼性・最新性が担保されます。この情報は、あなたがドキュメントやスケジュールで指定したソースから直接取得されます。このコンポーネントの役割は、リトリーブ（取得）を制御することです。

入力クエリ

関連情報を探す際に使われるクエリを指定します。これは他のコンポーネントからリンクするか、手動で入力することができます。多くの場合、入力クエリはチャット入力となります。

ドキュメント数

この設定で、フローが取得するドキュメントの数を制限し、結果が関連性を保ち、生成までの時間も適切に抑えられます。

ドキュメントカテゴリ

このオプション設定では、ナレッジソースのドキュメント画面で作成したカテゴリの中から、リトリーブ対象を限定できます。

スケジュール

ナレッジソースのスケジュール画面で指定したスケジュールの中から、リトリーブ対象を限定できます。

スレッショルド（しきい値）

ナレッジデータベース内のソースは、クエリとの関連度合いがそれぞれ異なります。AIは関連度を0から1の範囲でランク付けします。この設定で、どの程度クエリに一致したものを出力するかを制御できます。

スレッショルドの値はユースケースによって異なりますが、一般的には0.7～0.8が、適度な件数かつ高い関連性の回答に適しています。

例えば、スレッショルドを0.6に設定し、以下の記事があったとします：

• 記事A: 0.8
• 記事B: 0.65
• 記事C: 0.5
• 記事D: 0.9

0.6を超える関連度の記事のみが出力されるため、A・B・Dだけが含まれます。

• 高いスレッショルド（例: 0.9）は、クエリに非常に近い関連性の高い結果のみを返しますが、ドキュメント数が不足したり、関連情報を見逃す可能性があります。
• 低いスレッショルド（例: 0.5未満）は、より多くのドキュメントから情報を提供しますが、無関係な情報が含まれるリスクがあります。

ドキュメントリトリーバーコンポーネントをフローに接続する方法

このコンポーネントには入力ハンドルと出力ハンドルが1つずつあります：

• 入力クエリ: クエリは任意のテキスト出力が使えます。一般的にはチャット入力やジェネレーターと接続します。
• 出力: すべてのリトリーバー系コンポーネントの出力は常にドキュメントです。

ドキュメント出力は構造化データであり、そのままチャット出力に使うことはできません。ドキュメントを入力として受け取るすべてのコンポーネントは、これをユーザーフレンドリーな形式に変換します。ウィジェット系コンポーネントや、「ドキュメントをテキストへ」変換するトランスフォーマーが該当します。

ドキュメントリトリーバーを使う理由

• AIモデルの根拠付け: 自社のナレッジベースから実際の情報を提供することで、AIの出力の事実性と関連性を高めます。
• コンテキスト拡張: LLMやチャットボットにサポートドキュメントや参考資料を与え、より知的な応答を実現します。
• 柔軟なフィルタリング: カテゴリ・スケジュール・URL・ドキュメント構造・メタデータなどで検索を細かく絞り込み、最も関連性の高い情報だけを表示できます。
• カスタム出力: 取得量や分割方法、含めるメタデータを選択できるため、AI処理やUIニーズに最適化しやすくなります。
• エージェント統合: ツール説明や命名によって、エージェント型アーキテクチャでもツールとして参照可能です。

ユースケース例

• Retrieval-Augmented Generation（RAG）: LLMへサポートドキュメントを与え、知識に裏付けられた正確な回答を生成します。
• チャットボット・バーチャルアシスタント: FAQやポリシードキュメントなどを、従業員や顧客の質問に迅速に提示できます。
• データエンリッチメント: 商品や著者情報などのメタデータを取り込み、AIによる分析や業務自動化に生かせます。

使用例

さっそく試してみましょう！フロー構築の前に、関連するドキュメントやスケジュールが作成されていることを確認してください。適切なソースがなければ、チャットボットは答えられない旨を伝えます。

手順：

1. チャット入力から始めます。
2. ドキュメントリトリーバーを追加し、チャット入力を入力クエリとして接続します。
3. 出力はドキュメントなので、変換が必要です。今回は「ドキュメントをテキストへ」を使います。
4. 次にAIジェネレーターを接続します。
5. これでチャット可能です。

これでフローは人間のクエリに基づきソースを検索し、構造化データを読みやすいテキストに変換し、AIがユーザーフレンドリーな回答を生成できるようになります。

私たちのナレッジソースには、最新情報を取得するためにFlowHuntの料金ページをクロールするスケジュールが設定されています。実際にボットに質問してみましょう：