自然言語処理（NLP）

自然言語処理（NLP）は、人工知能（AI）の一分野であり、コンピューターと人間が自然言語を通じてやり取りできるようにする技術です。NLPの目的は、コンピューターが人間の言語を意味のあるかたちで理解・解釈・生成できるようにすることです。NLPは、コンピューターによる言語のルールベースのモデル化（計算言語学）と、機械学習や統計、深層学習モデルを組み合わせています。

自然言語処理（NLP）の主な側面

1. テキスト処理と前処理

• トークン化：テキストを単語や文などの小さな単位に分割すること。
• ステミングとレンマ化：単語を語幹や原形に還元する処理。
• ストップワード除去：特に意味を持たない一般的な単語を除去すること。
• テキスト正規化：小文字化、句読点の削除、スペルミスの修正など、テキストを標準化すること。

2. 構文解析とパーシング

• 品詞（POS）タグ付け：文中の各単語に品詞（名詞、動詞、形容詞など）を割り当てること。
• 依存構造解析：文の文法構造を解析し、単語間の関係性を特定すること。
• 構成素解析：文を構成要素や句に分解すること。

3. 意味解析

• 固有表現抽出（NER：NLPにおける重要なAIツールで、テキスト中のエンティティを特定・分類し、データ分析を強化します。）：テキスト中の固有名詞や名称を特定・分類すること。
• 感情分析：テキストの中で表現されている感情を判定すること。
• 語義曖昧性解消：文脈に応じて単語の意味を特定すること。
• 機械翻訳：テキストを他の言語へ翻訳すること。

4. 語用論と談話解析

• 共参照解析：異なる単語が同一の対象を指しているかを判定すること。
• 談話解析：テキスト全体の文脈や構造を理解すること。

自然言語処理はどのように機能するのか

NLPは、生のテキストを機械が理解し活用できる有用なデータへと変換する一連のステージを経て動作します。主な段階は以下の通りです。

データ前処理

最初の段階では、テキストデータを解析しやすい形に整えます。代表的な技術として、トークン化、ステミング、レンマ化、ストップワード除去などがあります。

アルゴリズム開発

次の段階では、機械学習や深層学習など様々なアルゴリズムを適用してテキストデータをモデル化します。タスクの複雑さに応じて、ルールベース、統計的手法、ニューラルネットワークが使われます。

自然言語処理（NLP）の主な応用例

NLPはさまざまな業界で幅広く活用されています。代表的な例は次の通りです。

• チャットボットやバーチャルアシスタント：Siri、Alexa、Googleアシスタントなどの知的エージェントを支えています。
• テキスト翻訳：Google翻訳などのサービスで、言語間の翻訳を実現します。
• 感情分析：顧客のレビューやフィードバックを解析し、感情の傾向を把握します。
• 音声認識：音声をテキストに変換する技術で、音声入力やスピーチ・トゥ・テキストなどに利用されます。
• コンテンツ要約：大量のドキュメントから自動的に要約を生成します。