純新規ビジネス（Net New Business）

純新規ビジネス（Net New Business）とは？

純新規ビジネスとは、特定の期間内に新たに獲得した顧客や再活性化されたアカウントから生じた収益を指し、通常は既存のアクティブ顧客へのアップセルやクロスセルによる収益を除外します。これは、既存顧客への追加販売だけに頼らず、顧客基盤拡大による成長を測定したい企業にとって重要な指標です。

本質的には、純新規ビジネスは新規顧客の獲得や休眠顧客の再活性化に対する企業の取り組みの成果を数値化します。新たな収益源に注目することで、市場浸透・ブランド認知度・製品やサービスが新しい顧客層にどれだけ魅力的に映っているかを評価できます。

純新規ビジネスの構成要素

純新規ビジネスを正しく理解するためには、その主要な構成要素を分解して考えることが重要です。

1. 新規獲得顧客：これまで会社と一切取引がなかった個人や法人。これらの顧客からの収益は、未開拓の市場や新たな層への真の拡大を意味します。
2. 再活性化アカウント：一度離脱した、あるいは休眠していた既存顧客が再び購入を開始したケース。こうしたアカウントの再活性化には、ターゲットを絞ったマーケティングや、以前よりも魅力的な提案が必要となることが多いです。
3. 除外項目：
   • アップセル：既存のアクティブ顧客に対して、より高額な製品や上位サービスを販売すること。
   • クロスセル：既存のアクティブ顧客に対して、関連商品やサービスを追加で販売すること。

アップセルやクロスセルを除外することで、純新規ビジネスは新規顧客との関わりから生じる成長にのみフォーカスします。

純新規ビジネスの重要性

収益成長

純新規ビジネスは企業の収益成長を牽引する主な要素です。既存顧客の維持や最大化も重要ですが、新規顧客の獲得によって新たな収益源が継続的に生まれます。これにより、限られた顧客基盤への依存を減らし、市場飽和や顧客離脱のリスクを軽減できます。

市場拡大

純新規ビジネスを測定することで、企業が新たな市場やセグメントへの進出にどれだけ成功しているかを把握できます。マーケティング戦略や製品・サービスの市場適合性、競争環境での強みを評価する指標となります。

競争優位性

安定して多くの純新規ビジネスを生み出せる企業は、競争上の優位を獲得しやすいです。強いブランド認知度や効果的なバリュープロポジション、新規顧客のニーズに対する高い対応力を示しています。

投資家の信頼

投資家や利害関係者は純新規ビジネスを重要な業績指標とみなします。この分野で着実な成長が見られれば、健全かつ拡大中の企業であり、将来の収益性にも期待が持てると評価されます。

純新規ビジネスの計算方法

純新規ビジネスの算出は、特定期間内の新規顧客および再活性化アカウントからの収益を合計し、アップセルやクロスセルによる収益を除外して行います。

計算式：

純新規ビジネス = 新規顧客収益 + 再活性化アカウント収益

各項目の定義：

• 新規顧客収益：該当期間中に初回購入した顧客から得られた収益の総額
• 再活性化アカウント収益：前期間に取引のなかった顧客が再度購入したことによる収益

計算例：

例えば、XYZ社の第1四半期データが以下の通りだったとします。

• 新規顧客からの収益：500,000ドル
• 再活性化アカウントからの収益：150,000ドル
• 既存顧客へのアップセル収益：100,000ドル
• 既存顧客へのクロスセル収益：50,000ドル

この場合、計算式は以下の通りです。

純新規ビジネス = 500000 + 150000
純新規ビジネス = 650000

よって、XYZ社の第1四半期における純新規ビジネスは65万ドルとなり、既存顧客へのアップセル・クロスセルによる15万ドルは含まれません。